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2025.05.30
施工について

火災保険で屋根修理はどこまで?台風被害の塗装費用を補償するケースとは


台風被害で屋根の修理!火災保険は効く?

火災保険で屋根修理はどこまで?台風被害の塗装費用を補償するケースとは

10年ほど前のことです。

「お宅の屋根、少し壊れていますよ」

大型台風が通過した翌朝、お隣さんからそう声を掛けられたAさん。

外に出て見てみると、確かに屋根が不自然な感じになっている。

その上、小屋根が吹き飛んで道路に落ちている。



「え...どうしよう。修理にいくらかかるんだろう...」と、Aさんは落ち込みます。

「屋根が壊れていますよ」と別のご近所さんからも声をかけられ

「そうなんですよ、もうがっかり」とAさんが答えると

そのご近所さんは「...火災保険でなんとかなるかもよ?一度火災保険を調べてみて」と言います。

Aさん、急いで火災保険を調べてみたところ…。

実は、火災保険の補償範囲には「台風による損傷」も含まれている場合が多いのです。この記事では、どんなケースで塗装費用が補償されるのか、申請の流れや注意点まで、事実に基づいてわかりやすく解説します。

ただし、すべての塗装費用が対象になるわけではありません。

補償される条件と、注意すべきポイントをきちんと押さえておきましょう。

台風被害は「風災」として火災保険の補償対象になることが多い

火災保険と聞くと「火事だけ」と思いがちですが、実際には風災・雹(ひょう)災・雪災などにも対応しているものがほとんどです。



たとえば、突風で屋根の一部が飛んでしまった。

あるいは、外壁に風で飛んできたものがぶつかり壁が損壊した——このようなケースでは、修復のための工事費用が火災保険で補償されることがあります。

一般社団法人日本損害保険協会も、火災保険で風水災等による損害が補償されることや、具体的な被害の例などを以下の通り説明しています。

「すまいの保険(火災保険)では、火災だけでなく、風災・水災・雪災・落雷などの風水災等による損害を補償する商品があります。台風や暴風などの風災による損害や、大雪などの雪災による損害について、一定額以上に達するものであれば補償の対象としています。」

出典:自然災害(風災・水災・雪災等)を補償する損害保険|日本損害保険協会

東京海上日動や三井住友海上など、主要保険会社の公式サイトにも同様の説明が掲載されています。

では、塗装費用はどうなのか?

台風の風害によるものは火災保険で補償されることはわかりました。ですが、注意が必要です。



それは、火災保険でカバーされるのは「被害を受けた部分の原状回復に必要な費用」だけなのです。

原状回復とは

「原状回復」とは、壊れた部分を元の状態に戻すことを意味します。台風で屋根の一部が壊れた場合、その壊れた部分を修理して、被害が起きる前の状態に近づけるのが原状回復です。

対象となるケース

台風で屋根の一部が飛んでしまい、新たに屋根材を葺きなおす

その際、元と同じ色に戻すための必要最低限の塗装作業

これなら、「原状回復の一部」として塗装費用が保険の対象になる可能性があります。

対象にならないケース

家全体をきれいにしたいから、屋根の修理ついでに外壁も全面塗り直す

このような、「もっと良くする」「きれいに塗り直す」といったグレードアップや美観目的の工事は原状回復には含まれず、保険では補償されないのが一般的です。

この違い、日常の「必要経費」と「贅沢品」の違いに少し似ています。

壊れた部分を直すための費用はOK。でも、ついでに全部新しくはNG、というイメージです。

保険が適用されるまでの流れは?

では、実際に補償を受けるにはどうすればいいのでしょうか?

大まかな流れはこうなります。

  1. 台風被害の状況を確認(※可能ならすぐに写真を撮る)
  2. 加入している保険会社に連絡
  3. 現地調査・損害認定
  4. 修理の見積もりを提出
  5. 保険金の支払い・工事実施

ここでのポイントは、保険会社に連絡する前に、無理に修理を進めないこと。

自己判断で先に工事してしまうと、後から補償対象と認められないケースもあるからです。

もうひとつ大切なのが、見積もり内容の信頼性です。

保険対応に慣れている業者であれば、保険会社が求める情報を見積書に過不足なく盛り込んでくれます。

よくある質問

Q. 補償の申請には期限がありますか?

A. はい。多くの保険では、被害発生から3年以内が申請期限とされています。とはいえ、早めの申請が鉄則です。

Q. 部分的な補修でも対象になりますか?

A. 被害箇所が限定されていれば、その部分の修理・塗装でも補償の対象となり得ます。

Q. 保険金を使うと保険料が上がりますか?

A. 自動車保険とは異なり、火災保険では保険金を受け取っても等級が下がり、保険料が上がることはありません(2025年5月時点の一般的な取扱いに基づく)。

補償されるかどうかは、「目的」がカギ

この記事の冒頭のAさんの事例ですが、屋根が壊れているとわかった後すぐ、知り合いの専門業者に相談。担当者がこの対応に慣れていたことが幸いし、その日のうちに現場にやってきて、損害の状態を撮影し手続きを進め、保険金を受け取ることができました。

火災保険は、台風などによる外壁や屋根の損傷にも対応できる頼れる備えです。

でも、塗装工事が補償されるかどうかは、「それが被害への対応なのか」「それとも見た目の改善なのか」という目的で線引きされます。

塗装費用が補償されるかどうかは、個々の状況によって判断が異なります。自分で勝手に判断せず、火災保険の仕組みに詳しい塗装業者に相談するのが最も安心で確実な方法です。専門家のアドバイスを受けながら、スムーズな保険金請求と適切な修理を進めていきましょう。